社会全体が多様性を受け入れる中で、障害や難病を抱えた方々が働く機会を得るためには、適切なサポートが必要です。
その一環として、障害者が働きやすい環境を提供するために生まれたのが「就労継続支援B型」です。このサービスの特徴や利用の流れ、利用者の特性などについてわかりやすく解説します。
目次
就労継続支援B型とは?
サービスの概要
障害や難病を抱え、通常の雇用契約が難しい人が対象となる「就労継続支援B型」は、障害福祉サービスの一環です。
主な目的は、生産活動を通して働く機会を提供し、必要なスキルや能力の向上を促進することです。また、利用者にとっては安心して日中を過ごす場所ともなります。
利用の柔軟性
年齢に関係なく利用でき、1日数時間や週に数日の利用も可能なため、障害の状態や体調に合わせて自分のペースで働くことができます。これにより、多様な利用者が自分らしい働き方を見つけることができます。
利用対象者
「就労継続支援B型」を利用できる対象者は幅広く受け入れられており、様々な背景や状況に応じて柔軟に対応しています。
就労経験があり、通常の雇用が難しい人
過去には働いた経験があるけれども、年齢や体力の面で通常の企業での雇用が難しい方が利用対象です。このサービスを通じて、新たな働き口を見つけるサポートが期待できます。
就労移行支援を受けても雇用が難しい人
就労移行支援事業などを受けたものの、通常の就労や就労継続支援A型での雇用が難しい方が対象となります。B型は、そのような方に適したサービスとして提供されています。
50歳以上の人や障害基礎年金1級受給者
年齢が50歳以上の方や、障害基礎年金1級を受給している方も利用対象です。年齢や受給条件に関係なく、新たな働き方を見つけるサポートが提供されます。
地域において他の雇用の場が限られている人
地域において通常の就労が難しい状況や、就労移行支援事業者が不足している場合にも、このサービスが適していると判断されます。地域に合わせたサポートが期待できます。
これらの条件に該当する方は、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談してみましょう。
利用者の特性や能力などを調査するアセスメントを受け、就労面の課題が把握されている方がスムーズに利用できるようになります。
お近くの窓口に足を運ぶことで、自分にぴったりな働き方が見つかるかもしれません。
生産活動の内容
「就労継続支援B型」での生産活動は、事業所によって異なりますが、どのようなものがあるかご紹介します。
・部品加工
・手工芸
・飲食店での調理
・パンやクッキーの製造
・衣類のクリーニング
・データ入力 など
これらの活動は、利用者同士で分担しながら、指導員やサービス管理責任者の指導のもとで進められます。
工賃と受けられる制度
就労継続支援B型では、生産活動の対価として「工賃」が支給されます。ただし、雇用契約を結ばないため、最低賃金を下回ることがあります。2021年度の平均月額工賃は16,507円で、時間給換算では233円です。
確認は必要ですが、工賃だけでは生活が不安な場合、以下の制度を利用できるかもしれません。
・障害年金
・生活保護
これらの制度は利用者の状況によって異なりますので、詳細な内容は各制度の担当窓口で確認が必要です。
利用料・利用期限
利用者の負担は所得に応じて異なります。生活保護受給者や低所得者の場合は、利用料が発生しないことがあります。具体的な負担上限月額は、市町村の判断により以下の通りです。
・低所得 : 0円
・一般1 : 9,300円
・一般2 : 37,200円
就労継続支援B型の利用には特定の期限はありません。1日数時間や週に数日の短時間利用も可能で、自分のペースで働きながらスキルを向上させることが期待されます。
最後に
就労継続支援B型は、様々な状況に柔軟に対応する働き方のサービスです。
障害や難病を抱えた方が、自分のペースで働きながらスキルを向上させ、充実した毎日を送るためのサポートが提供されています。
最近ではますます注目を浴びているため、お住まいの地域の障害福祉窓口や相談支援事業所にお尋ねして、自分にピッタリな働き方を見つける手助けになれば幸いです。
参考引用:厚生労働省
参考引用:厚生労働省「 障害者の利用者負担」
参考引用:厚生労働省「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要」